冬の一角獣

真城六月ブログ

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020まとめ

2020年が暮れます。 生きることについて、身体について、社会について、人間について改めて根もとを探るように思わざるを得ない年でした。皆さんにとってはどうでしたか。 わたしは思いを分かち合うことの困難さや、それを超えたよろこびを折々感じることの…

譜面 バーコード 電線 鉄路

譜面 バーコード 電線 鉄路 体内と体外 誰の あなたの身体はあなたの わたしの額にある傷は あなたには無い あなたの腕の黒子は わたしには無い 寂しい? 隔てられている? いいえ だから 互いに出逢える そうではありませんかそうでありますように 食器を洗…

最も遠いものが

最も遠いものが近づくことが出来る。最も幼いものが最も完成していて、最も弱いものが最も壊れにくく、最も合理的なものが不条理に出逢い、最も現実的なものが神秘に打たれる。最も偽りであるものが真実を見抜き、最も古いものが最新のものと重なり、最も価…

昨今のテレビ

テレビを消すと驚きます。テレビを消した現実に。そこにわたしたちそのものが現れるからです。わたしたちは賑やかで激しく、深くて豊かです。それを忘れさせようとするテレビはわたしたちに消された瞬間から一切力を失います。 テレビはわたしたちに足りない…

15分のエスケープ或いは旅路

スニーカーが足を突っ込まれ。ドアノブが手に掴まれて。 外は涼しいです。いえ、少しまだ暑いです。 街路を行く自転車の運転手の髪が艶々できれいです。白いマスクが目立つ夜です。 ここは何処です。わたしは解放感から歌い出しそうに道を渡ります。新しい道…

底の無いバケツの話

バケツに水を入れると、水が入ったぶんバケツが重たくなる。 はずが、入れても入れても水が貯まりもしなければ、溢れもしないバケツもある。 底の無いバケツでは、注がれた水はただそのまま底を抜けていくだけ。 道理で、注いでも注いでも変わらぬバケツだっ…

2020.9 オペラとサカナ

電車に乗っているとき、駅の改札を通り抜けるとき、故郷へ帰った知人といつか餃子を食べた中華料理店の閉店する旨を報せる張り紙を見ないように歩くとき。 「違うという事だけが分かる」 違うという事だけが分かり、それ以外は分からない。けれど、それは気…

人間を見たい

インターネットを眺めていて、ぼんやりと思った事を脈絡無く書き留めておきます。 人はほんとうは何を見たいのか。人間は人間を見たいのではないか。 わたしが「人間は人間を見たいのだ」というときの意味は以下のような感じです。 人間はポーズをする人間に…

すべての環

少しずつ日が暮れるのがはやくなっていきます。夕方と明け方が毎日昨日と違います。 これから台風がいくつか行き過ぎ、涼しい朝と夜になっていくのでしょう。 人の世、人々の間で何が起こっていても季節は移っていきます。良いも悪いもなく自然の中で、自然…

2020.7

取り組んできた事のうち一つがひと段落つき、まだ毎日雨が降る七月を見ています。 雨を遮った部屋の中で、とろける猫につられて自分もとろけるようなのです。 カフェでは、この席には座らないで下さいと書かれた紙が貼られていて、人々は少しずつ離れて、電…

はじまりの夢

紫色は安らぎ。水色は静寂。ピンクはよろこび。青は思考。白は微笑みに見える紫陽花が雨に打たれている。葉は花を生かす漲る力そのもののように濃い緑。 いま、いま、いま。唱えながら水たまりの波紋を数える。いま、いま、いま。 いまが身体から溢れかえる…

2020.5

サカナ様 わたしは今、家にいます。家の中の自分の部屋で座っています。その座って、これを書いているものの内にわたしがいます。これを書くまでに色々な事がありましたが、それらを書くのは無理な事です。何故ならあまりにも今、今、今の繰り返しは膨大に積…

電話

今ではあり得ない事ですが、間違い電話から友達になった人が昔いました。 相手がかけてきたのが先か、こちらが先だったか憶えていませんが、最初のうちの意味不明な会話の内容よりも不可解な可笑しさから受けた感じをよく憶えています。相手が女性だったのが…

営みの手紙

枕を抱えて眠ろうとした窓まで持って行ってビスケットを食べた夜のぜんぶが四月の匂い花は春の心臓の色 さかさに読む番組表チムチムチェリー靴磨き生きている人の打った文字を読むスマートフォン いつか今が流れ込んで澄み切った先で屋根の上で遠吠えしたい …

春のうつくしさ

あちこちの桜が咲いていますね。桜だけでなく、さまざまに咲いた花をよろこびと共に見ている人も多いのではないでしょうか。花を見て感じるものは苦しいときほど迫るように思います。 季節の巡りが救いをもたらすことがあるように、とり残されたものを感じる…

星は星

目蓋を閉じると、閉じた奥の暗く深い闇へ、彗星がいくつも飛び込んで行く。次から次へ、途切れることなく星が吸い込まれて行く。暗い深い闇の奥は見えない。何故そんなに星が還ってゆくのかも分からない。果てまで行くだろうか。果ては何処だろう。どんなと…

オーバーラップ

読みたい本を見つけた。それだけでなんとなくあかるい。発売日はいつ?まだ。ああいつもこうして生きてきた。 友達のツイートを読んで、何も返せないまま、じっとしていると、友達から「グーテナハト」いつもこんな風に眠った。 来週は霧の中。明日はバナナ…

未来の過去の

晴れて陽射しが金色の午後、用事を足しに出た帰り、小さな店で、小さなノートを買いました。 小さなノートに色々なことを思いつくまま忘れないよう記していくと、それは徐々に自分のノートになっていきます。 スマホにしたメモも、ノートに書くと同じ内容が…

まぼろしのほんとうのあたたかさ

座って読書していると、猫がぴったりとくっついてきて、そのまま落ち着く。片側の足だけがとてもあたたかくなる。 猫はしばしば母猫を探しているように見える。母猫そのものというよりは、ぬくもりや安心の記憶、かつて味わったあたたかく柔らかな感覚や雰囲…