冬の一角獣

真城六月ブログ

2022-01-01から1年間の記事一覧

蟹座に

夏が来たよって誰に言おう 寒がりな人のところへ一番に行こう 何を分けようか 涙と過去と笑いと 生きていてよかったって 生きていてくれてありがとうって 会えたねって 一緒にいるとうれしいねって ああなんて苦しいんだろう どんな歌も物語も必ず終わってし…

双子座に

夏草を駆ける 弾む脚 言葉は雨である そよ風である あなたと わたしの 肩に触れる手である お話ししよう 石と明後日とカサブタと水色の空と わたしの声が聴こえる? 逆さまにも捲れる 大きな書物である 身体中を流れる血のように 書物を流れる河である 涙の…

2022.5

お皿が割れました真っ二つ 寝不足なのはわたしで お前じゃないだろう食器棚よ お守りのペンダントの面目の為に 被害の小ささを感謝しました 暮らしってかなしいですね 人はそのかなしさの中で いなくなってゆくぶん 何かを残してゆきます そのつもりがなくて…

牡牛座に

味わうために在るのです 大地と空と 怒りと金貨と 音と慈しみと 胸を絞るクリームと暖かな灯と 笑みつつ眠り 泥を舐めた舌であなたを分かりたい すり減る時の中で頑丈になる砂の城で 豊かさは感じるときにしか無いもの だから 惜しまない 分けるだけ増えるか…

牡羊座に

はじまりの息吹の熱さは わたしはうれしい わたしはうれしい 世界が身体が現在が 鼓動打つことが 真新しい春に在る わたしは いのちだから いやだ!と言える いやだ!と叫べる わたしは最後の一人になっても 誰か言えない人のぶんも 声をあげられる わたしは…

魚座に

溺れる 浮かび上がる 泳ぐ 沈み込み 飛び上がる 海の中のあなたの内側の海で 世界は溢れる 融け合うぬくもり 重なり合う微睡 境を失う歓び 老婆の白い髪に海色のリボン 涙の少女のくちびるに珊瑚色 すれ違うことも出来ない! 存在が存在と触れたところから …

過去と鳴く鳥

過去過去と鳴く鳥よ 過去で出来たいまのおまえはあたらしい 未来に濡れた瞳でいきているから 過去過去過去 おおきな声は生命なんだね いまのおまえをいまのわたしが見ている それは素晴らしいね おまえが飛ぶとき空がうつくしくなって おまえがそうしている…

水瓶座に

ほんとうのことだけ言い続けて 清らかにひとりぼっち 寂しい舞踏会 しんとした理知を抱き 未来をみている 目だけになって存在する どこか底抜けにひかる子供の笑い方 千年思いつめた背中 静かにしてくれ 大声で歌ってくれ 創り出してみせようか 誰も縛らない…

山羊座に

苦しみのない日々にやがて着地するのだから 乗り越えるのは造作ないと あくまでさりげない足取りで 硬い沢山の扉 閉ざした力より強い力で開かれる扉 あなたが破れるわけないのです この世の重みを翻し飲み下して何もかも 安んじて過ごせる場所を 何処にもな…