冬の一角獣

真城六月ブログ

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

待ち合わせ【創作】

一杯の珈琲を飲むためにあるスタッカート喫茶店で兄をなくした弟がまた猫を失って無口に珈琲を淹れてくれる誰も救わないレクイエムは流れる語られない言葉に耳を澄まし硝子を飲むためにあるスタッカート一から順番に思い出そうとしても一がどこかわからない…

若冲の石灯籠

最近夜になると眺めたくなるものについて書きます。伊藤若冲の作品で「石灯籠図屏風」というのがあります。この作品がとても好きです。初めて目前にしたのは平成二十年に東京国立博物館 平成館で開催された「対決 巨匠たちの日本美術」という展覧会において…

スペインオオヤマネコになりたい男の子の話【創作】

去年のクリスマスに動物図鑑をもらった。ぼくの宝もの。ぼくはいつもその本を読んでる。たくさん動物のことを知ることができたのがうれしい。動物はみんなすごいんだよ。その図鑑に載ってる中でぼくが一番好きなのはスペインオオヤマネコっていうかっこいい…

異邦人(四人目)【創作】

駅前ロータリーのベンチにいつも座っているおばさんがいました。一人きりで朝から座っているのでした。私は朝、仕事に行くのにその人を見つけて「今日もいるな」と思い、夜に帰ってくると同じところにまたその人はいるのでした。寄る辺ない身の上であること…

手紙いろいろ

先に申し上げておきますが、今回は長くなります。どうしても長くなりそうですからどうぞ御目のご健康な時にお好きなお飲み物をご用意の上、ゆっくりとお付き合いくださいますようお願い致します。では、遊びましょう。 手紙が好きです。手紙に限っては書くよ…

童話を読む

童話を読んでいて頁を捲る自分の指先が目に入る時、マニキュアに驚くことがあります。さっきまで気に入っていた綺麗な色の爪を恥ずかしい代物のように感じることがあります。そして大人は子供のようにありのままでは美しくないので身を飾るのかもしれないと…