冬の一角獣

真城六月ブログ

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

桜手品

三月の裏側に跳び出してあの子は何処にいる。 はじめは少しだけめくれた三月の端っこを見つけて胸がどきどきしただけだった。 誰もまだ気づいていない。 めくれたところを見ないように素早く通り過ぎて、走って帰れば良かったかもしれない。振り返らずに、振…

みること

なにをしてきましたかと訊かれたら、みてきましたと答えましょう。 なにをと問われたらいろいろなたくさんを、それでも無理にも叶ったものをだけと返します。 みることにはどの字を使えば良いでしょう。見る、観る、視る、言葉は大き過ぎたり小さ過ぎたりも…

春の陽

春の陽 ひかり やわらかな時 薄紫色 ミント色 クリーム色 桃色 砂糖菓子のひなあられの レースとフリル 梯子 落とし穴 浮遊と落下 さざ波 笑い声 うさぎ 沈黙 親密な清らな 稽古 ワルツ ストラップシューズ 青い楽譜 菫 睫毛 ほくろと傷と 草の匂い 雨の匂い…