冬の一角獣

真城六月ブログ

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

荒地の盗人萩

行く道は薄桃色で脆い空気のせいでそれを吸い込んだ全身の血液が甘い行く道はただ珍しく再びは来ない道と知らないから似合わない服で過ぎる蟻を踏みミミズを踏み植物の種をしばらくくっつけたままの靴底は汚れずにいられる術もなく罪を増やして足よりも少し…

持ちもの

むかし一度行ったきりの家にあった小さな置物がどうしてか長い間、自分の内に残っていたのでした。 それが置かれていたテーブルに一緒に並んでいたものなどは滲み切った背景のように遠く、何ひとつはっきりとは憶えていないのに小さな女の人の立像だけいつも…