冬の一角獣

真城六月ブログ

荒地の盗人萩

 

 

 

 

行く道は薄桃色で脆い空気のせいで
それを吸い込んだ全身の血液が甘い
行く道はただ珍しく再びは来ない道と知らないから似合わない服で過ぎる
蟻を踏みミミズを踏み植物の種をしばらくくっつけたままの靴底は汚れずにいられる術もなく罪を増やして足よりも少し早く行く

 

 

 

 

薄荷水を気つけにしていると
薄荷水を見るだけで横たわりたくなる
横たわり熱い頭を沈ませていると
教わらない終わりを教わらない目や耳が既に知っていて少し先に退ける
最早そこになくても薄荷水は香る

 

 

 

 

 

 


行く道は椅子を持って行く
いつか掛けるために
椅子は最初とても大きく、かなり重い
椅子は持つものを傷めつける
持てないものを持つと身は痛む
持てないものを持ち続けると
持てないものは形を変える

 

 

 

 


目覚めて涙するとき 行く道の先がいつもうららかにまぶしいのかもしれない