冬の一角獣

真城六月ブログ

2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

シルヴィア・プラスの湖とわたしの湖

好きな湖があります。行くとずっとそこに居たいと思ってしまいます。機会があれば足を運ぶのですが、いつも帰りには胸がいっぱいになっています。不思議な場所です。小さな湖ですから周りを歩いてもすぐに一周してしまうことになります。今年は五月にそこへ…

異邦人(三人目)【創作】

学校嫌いの男の子がいました。その子は中学一年生でした。ある日のお昼休み、彼は一人で校舎の三階にいました。廊下の窓から校庭を眺めると食事を済ませた生徒達が球技などをして遊んでいるのが見えました。彼はそれをはるか彼方を見るように見ていました。…

9月12日のしあわせな夢

私は十四歳で、それを少しも不思議に思っていない。当時好きだった、今は持っていない生成り色をした総レースのワンピースを着ている。一生懸命、髪を梳かして出かけた。デパートの食料品売り場でマリアージュフレールのアッサムメレンを買い、高層マンショ…

遠くへ行かない

九月です。 今までも今もいつもこれからもなんの役にも立たないことに心を寄せ、どうにもならないことを夢にみながら生きています。 今までを振り返っても、十分その要素に満ちた時間の過ごし方をしてきたつもりではいますが、最近はとくに孤独の大切さを感…

雨の夜 【創作】

パパとママは喧嘩したので、ママはわたしに二人でご飯を食べようと言いました。 雨が降っているのにわたしとママはお出かけしました。 ママは大きな赤い傘を、わたしは新しい水色の傘をさして歩きました。 色々な傘が売られていたのに水色を選んだのは雨でも…