冬の一角獣

真城六月ブログ

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

オペラの手紙 【創作】

孤独は甘いものだからあんまり激しいものだから部屋の外を降り続く雨の音を聞いているとあの雨という水が屋根も天井も突破して光の矢になってわたしを貫いてくれたらなと思ったりします。きらきら光る髪の毛はシャワーを浴びた後よりも気分の良いものではな…

燃える路を歩きながら、手のひらから呼吸して、小さな湖の畔りから向こう岸を見たときの肌寒さを思い、苦心して、燃える路を歩きながら、再び畔りに立った。向こう岸にはあの日の自分が立って、此方を見ている。燃える路を歩きながら、誰もいない。足下には…

オペラとサカナ 【創作】

オペラという女が林檎を磨いていると傍で寝そべっていたサカナという女の電話が鳴った。 ショパンの別れの曲だ。オペラは林檎を磨く手を止めず、出ないの?とサカナに声をかけた。出ない。即答してサカナは壁の方へ寝返りを打った。 着信音は止まり、二人は…