冬の一角獣

真城六月ブログ

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

雑踏 午後の音楽 【創作】

白く光るなにかが 大通りを渡り終えたとき 小雨が止んだ。足取りではにかみながら なにかはどんどん歩いて角を曲がり 見えなくなった。 アイスコーヒーは グラスの中で 氷がよろめくたびに 眠れ眠れと音を立てる。 陽炎 白昼夢 手を伸べて陰影 街は回転木馬…

少女たちは本の中 (岡本かの子の)

七月も半ば。困ります。暑さにも少しずつ慣れていきます。困ります。慣れていかなければなりません。困ります。 今年の一月に本の中にいる好きな少女たちについて書き、また改めて書ききれなかったものを書こうと思っていました。 と、その前に。今年も半分…

モノローグ 【創作】

その人は急に屈み込んで、わたしの足の甲に触った。 口元には柔らかな笑みを湛えながら瞳は泣き出しそうに彷徨っていた。 わたしは理由の分からない動揺に囚われて、すっかり温順しくなった。思い返せばいつもわたしの小さな手足を彼女は笑っていたのだった…