雑踏 午後の音楽 【創作】
白く光るなにかが 大通りを渡り終えたとき 小雨が止んだ。足取りではにかみながら なにかはどんどん歩いて角を曲がり 見えなくなった。
アイスコーヒーは グラスの中で 氷がよろめくたびに 眠れ眠れと音を立てる。
陽炎 白昼夢 手を伸べて陰影
街は回転木馬を隠して思わせぶりだ
冷房の風は音符を散らばらせ 何処か遠くないところから檸檬の香りがする
道行く人は 皆やけに大きな翼をつけて 互いにぶつかることもなく歩いて行く。
背中が軟なわたしはいかにも軽いので いつの間にか空中に舞い上がり そのうちにたくさんの音符と混じってしまう。
あかるくあかるい夏の午後は 起きたまま夢を見る。
また白い光が