冬の一角獣

真城六月ブログ

底の無いバケツの話

 


バケツに水を入れると、水が入ったぶんバケツが重たくなる。

 

はずが、入れても入れても水が貯まりもしなければ、溢れもしないバケツもある。

 

底の無いバケツでは、注がれた水はただそのまま底を抜けていくだけ。

 

道理で、注いでも注いでも変わらぬバケツだった訳だ。底に穴が開いているんだから。

 


バケツは自分の底が抜けている事に気づいていないみたい。何故なら、こちらが注いでも「足りぬ」「もっと」と、繰り返すばかり。「どうしてもっとくれないんだ?」寄越せ。寄越せ。「自分はいつまでも空っぽだ!」と。

 

 

無限に湧き出す泉ででもない限り、注ぎ続けられるわけ無いでしょう。

 

 

それに、バケツさん、今のあなたに注いでも注がなくても同じです。全部すぐさま底から抜けていっちゃうんだから。

 

 


穴を塞ごう。自分で出来る。というか、自分にしか出来ない。穴を塞ぐ為には、穴がある事に気づこう。穴に気づいたら、あるものはあるのだから、塞ごう。嫌がらないで、認めて、苦しみ過ぎないで、自分の手をあてて抑えてみて。もしも、どうにもならなかったら、他のバケツに水を注いでみて。自分が欲しい水を他に注いで。そうしているうちに、いつのまにか底は塞がって、底のあるバケツになるから。底のあるバケツは重たくなる。水が貯まっているから。不思議では無い。自分で出来る。自分にしか出来ない。

 

 

そうしたら、いつかわたしにも少し分けて下さい。その頃、わたしに穴が開いているかもしれないから、そうしたら、あなたが教えてね。