冬の一角獣

真城六月ブログ

はじまりの夢

 

紫色は安らぎ。水色は静寂。ピンクはよろこび。青は思考。白は微笑みに見える紫陽花が雨に打たれている。葉は花を生かす漲る力そのもののように濃い緑。

 

 

いま、いま、いま。唱えながら水たまりの波紋を数える。いま、いま、いま。

 


いまが身体から溢れかえる。笑おうとして、泣こうとして、欠伸が出る。真面目でいるのは難しい。ふざけ続けることもしたくない。身の丈って狭い。だから溢れかえる。

 


いま、靴擦れした踵が痛い。いま、あなたのことも少し考えている。いま、猫がわたしを噛もうとしている。いま、喉が渇いて。いま、砂漠で骨になった動物の最後の夢を見ている。最後の夢。最後の夢は「水がほしい」か、それとも「ありがとう」って言われたいか。言いたいか。

 


いま、いま、いま。わたしはこれを打ち込んでいる。あなたは読んでいる。私達はいつもはじまりの夢を見ている。