春の切れ端
『ガタガタの縫い目』
いつかどうにもならなくなってから気づくの?
いつもどうにもならなくなるのを待っていたの?
自分を見てくれと猫は言う
猫を見ていると私は思う
雨の降る道を傘さして歩きながら泥棒たちを恨んだ
皆何気ない風でカッコつけて私の知らないところでくたばるのだ
全然愛していない
ガタガタの縫い目
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『生きづらさの理由』
平凡な人がデコレーションされて特別な人になった
春の浴室でその人の空しさはどんなだろう
すべてがはじまりに帰るとき
平凡だから特別になれたと知るかもしれない
わたしたちは後ろ向きに歩いていくことを迫られ
向い風では翅が開かなかった
猫と春の嵐の夜 毎日は歌だ 蛇口をひねってもよろこびは流れてこないが わたしが蛇口によろこびながら触れることは出来る そのとき蛇口は堂々と蛇口を発揮する 水は雨だった海だったと歌う
わたしは生きている それであなたに手紙を書いている このすべてがそれだよ