冬の一角獣

真城六月ブログ

オペラとサカナ ーメッセージー

 

 

オペラ必殺長文メッセージがサカナを疲れさせる深夜2:23

 

 

唐突にオペラ

「常に社会より規則より常識より生命のよろこび、あるいは痛み、というか両方なので、そうしか出来ないので、そうでない人を遠く感じるのだけど、そうでない人にはそうでない人の真実や納得があるのだろうと思うし、それは立派だと思うし、あなたとわたしとそれ以外のみんなが矛盾の中で溶けながら個であるような自然を求めている」

 

 


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オペラの長文

「話したかもしれないけれど、私は十代の頃、一人で原宿で募金箱を持って立つ人に畏敬の念を抱き、しょっちゅうその人のことを見に行ってた。歩道橋の上から何時間もその人を見ていたのね。休みがちな学校帰りに原宿へ行き、休日も。その頃いつも自殺願望があったんだけど、駆られたように原宿へ行ってた。

 

他に托鉢みたいなのとかいっぱいいたけれど、何故かその募金箱を持つ人に目が留まった。私は出かける時、親から五千円もらえたから、いつもその人の募金箱に入れた。大島弓子の漫画とは違って、その人を追いかけて、お金が何に使われるか、その人が何者であるか確かめる気にはならなかった。その募金箱の人は皆と、この社会の中でとりあえず上手くやれる人々と、違う時間を生きているように見えた。私は全てが嫌で、その募金箱のお金が私の嫌で仕方ない世界へ還元されるのに、私は何故募金するんだろうと思ってた。その人が立ち続ける意味になりたかったのかもしれない。

 

物凄くしんどかったから、破滅したかったし、無意味さに救われていたのかもしれない。夏休みのある日、その人はいなくなって二度と見なかった。私はそれでも歩道橋に立った。歩道橋の上から、その人がいた辺りを見下ろした。募金箱の人がいた時に、ここから飛び降りれば良かったなと思った。結局しなかったけれど。いつもしないの。私はお利口だから。薄汚いよね。

 

それで、思うの。わたしに何か出来るとしたら、言葉を捧げることだろうって。身を投げることをしなかったぶんも」

 

 


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カーテンの隙間から光が侵入してくる。