冬の一角獣

真城六月ブログ

乙女座に

 

誰にも話さない夢だから


整えた室内で光る花瓶に一輪もなくとも
楽園です

 

 

収穫の季節に分け与える分
冬に眠る生きものの分
飛び回れば世は狭く
種を蒔けば日は短く
あなたは広く影は長く

 

 

飢えや痛みに手をあてて
傷の癒えるように
捧げるその手は誰にもとらせず

 

 

太陽の傍にいたので
皆はあなたの周りが暖かい
黙り込むあなたはあなたが熱い

 

 

すべての争いを憎んでいるから


花ざかりの庭で終わりを見ている


まだ青い葉に冬を見ている

 


泣くわけがない


微笑みよりかなしくない涙を


流したりしない

 

 

楽園で見る冥府はむずかる幼子に似て

 

抱いたら世界は安らぐだろうか

 

 

あなたの誰にも話さない夢でこの世は出来ている