乙女座に
誰にも話さない夢だから
整えた室内で光る花瓶に一輪もなくとも
楽園です
収穫の季節に分け与える分
冬に眠る生きものの分
飛び回れば世は狭く
種を蒔けば日は短く
あなたは広く影は長く
飢えや痛みに手をあてて
傷の癒えるように
捧げるその手は誰にもとらせず
太陽の傍にいたので
皆はあなたの周りが暖かい
黙り込むあなたはあなたが熱い
すべての争いを憎んでいるから
花ざかりの庭で終わりを見ている
まだ青い葉に冬を見ている
泣くわけがない
微笑みよりかなしくない涙を
流したりしない
楽園で見る冥府はむずかる幼子に似て
抱いたら世界は安らぐだろうか
あなたの誰にも話さない夢でこの世は出来ている