玄関のドアを開けて外へ出るとお線香の香りがした。 蝉の声と湿った緑色の空気に包まれながら駅までの道を歩く。身体は乾いて、乾かして歩く。憧れは空っぽだから。空っぽになるまであと何歩。 小さく狭い棚は撓んでいる。押し込まれて圧し潰されて人形も書…
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