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冬の一角獣

真城六月ブログ

待っているもの


真夏にベランダから雷を眺めるのが好きです。ボールに氷水を張り、その中に三つほどソルダムを泳がせて冷やしたのを齧りながら眺めます。夏に疲れた身体に青い酸味と渋い甘さは涼しいです。丸い実で、皮は赤みがかった緑色で、齧ると中は真っ赤です。少し透き通った紅色の時もあります。遠いような近いようなもどかしい味です。子供の頃に背の高い草の中に屈んでお友達に見つけられるのを待っていた時に嗅いだ青く透明な匂いです。擦りむいた膝を抱えて、このままずっと誰にも見つからなかったら死んじゃうかしらと汗をかきながら笑ったのは何百年前のことだったでしょう。それを食べながら黒い雲を貫いて白い稲妻が走る空を見るのが夏にしたいことです。梅雨に入る前から怯えている苦手な夏を待ちうけてやろうと思える理由はこんなことです。






果実の瑞々しさなつかしく
過ぎた季節巡り
ベランダの手すりまだ燃えず
いつか蒔いた種の
生い茂る葉の緑がこわい


間もなく来る
黒い空
渦を巻く雲と雷鳴を


稲妻を待つ
静かなベランダに
目を瞑り
果実早く実れ実れば
また齧りながら稲妻を
眺めたいのだから


存分あおい真夏を