冬の一角獣

真城六月ブログ

うすくれない

 

 

あんまり遠くて迷いながら歩き過ぎてべそかきながら悪態つく相手がいたしあわせ春休みじゃなかった?

 

 


電車を乗り継ぎしあわせになるペンダントを買いに行ったあまり賢くない女の子達ふたりとも学校が嫌いでひとりはお家も嫌いでもうひとりは習い事も嫌いで微かに色がつくリップクリームを塗りながら繰り返し遺書を書いた

 

 

 

 

青空を飛ぶ鳥のとまり木になる電線は鍵のかかった扉で閉ざされた屋上に行けないねお腹が空いたねとりあえず公園へ行こうジュースにすれば良かったねコーヒーって苦いね電話ボックス

 

 

 


日暮れ時ふたりでつくった魔法の言葉を呟いて死んだ犬に電話をかけたキャンディお祈りしたのになんで死んだのどうしたら会えるのどこにいるのキャンディしか好きじゃないのに

 

 

 


ペンダントがほんものじゃなかったでも今度はでもこのペンダント綺麗青い石の中に女神様の横顔ほんものじゃなくてもいいやこんな女の人になりたい手紙書こうよこの女の人に花の絵も描いて送ろうこの人になんでもしてあげようこの人を愛そう

 

 

 

 

分かっていたのに信じるふりをしたそうして別れを惜しんだはやく出逢いたいと思っていた訳でもないけれど混雑した春の訪れに鋭いよろこびは手放しで蘇って街

 

 

 

 


秘密は秘密を持っていなかったこと水あめは喉元にせりあがり息がわずか苦しくなる赤い目蓋春休みをまだ過ごしている