冬の一角獣

真城六月ブログ

夜に見る躑躅

月は白くかがやき藍色の空にあり見上げるものを照らしていました。



疲れているの。笑っているの。何処へ行くの。帰って行くの。



月のひかりは柔らかく眠りを誘うあかるさであらゆるものに落ちていました。


花ざかりのつつじが赤や白や溢れるように咲いている上にも月のひかりは降っていました。昼間には日の光に包まれているつつじの花です。生き物達の力を呼び覚ますように力強く美味しそうに緑の合間を埋め尽くし燃えています。


夜に見るつつじは暗くなるまで隠されていた秘密です。窓の外にはいつか見た花ざかりのつつじが赤や白や赤や白や。暗い緑を沈ませて闇の中に浮かんでいます。そのさまは迷い込んだ途端に帰りたくないと思わせる懐かしく甘い世界の目印です。



その夜は細い月がでていました。