冬の一角獣

真城六月ブログ

赤いリボン

雪の降る日の赤いリボン

熱を出した夜の赤いリボン

君を見ぬ日の赤いリボン

指の間の赤いリボン

犬が来た日の赤いリボン

忘れられた赤いリボン

嘘を聞く日の赤いリボン

祭りのあとの赤いリボン

どこにもない赤いリボン

彼の胸の彼女の髪の手紙の束の赤いリボン

人生の最初 港から船に向かって投げた紙テープならぬ赤いリボンは

もう一度この胸にぶつかって還るような

届くような


そのときはたぶん首肯いて手の中に

翻って手の中に

手の中の赤いリボン