新年あれこれ
あけましておめでとうございます。
皆さまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
この新しい年も『冬の一角獣』をどうぞ宜しくお願い致します。
というのがきちんとしなければならないご挨拶です。ここからがいつもの変てこです。
皆さまはどんなお正月をお過ごしでしょうか。こちらは比較的暖かく、穏やかな気候の年明けです。
これまで何度も繰り返し観た映画『真夜中のカーボーイ』や『ニューシネマパラダイス』やフェリーニの『道』などをいくつかまた観て、いつも読む何冊かの本『野溝七生子作品集』やディキンソン詩集やサリンジャーの初期作品『やさしい軍曹』などをまた読み、好きな食べ物、里芋と椎茸と銀杏と糸みつばと柚子皮と蒲鉾と海老と焼餅の入ったお雑煮や金柑の甘露煮と伊達巻と昆布巻と黒豆とお煮しめなどで彩り豊かなお節やたくさんの果物を頂きながら過ごしています。
静かにしあわせなお正月です。
昨年あった困難も束の間嘘のようで有り難く思います。相変わらず困難は横たわっていても今だけ羽毛のように柔らかく遠く感じられます。
新しい一年はどんなことに出逢えるでしょうか。そう、いつも最後の気持ちを忘れずにいなければなりません。そうして初めてで最後の毎日を暮らせたらと思います。なかなか簡単ではありませんが、絡まったあやとりもたのしんでいきたいものです。
昨年の一時期、欲しいものはなにもないと思っていました。なにもいらないという気持ちで過ごしていました。今は、それとは少し違う気持ちがしています。それに、なにもいらないということと、なにもかも欲しいということはそっくり似ているのだと気づきました。気づいて可笑しいような思いです。「なにもいらない」と「なにもかも欲しい」はあまりにも似ていて、どちらがどちらか見分けがつきません。それは、同じことのように今では思えるのです。
少し、少し、少し少しと願いながら、元日に窓を開け、思い切って夜の樹に声をかけました。
「かなう!」
不思議でないことも変でない人も無いじゃないか。おもしろいね。
あなたのもわたしのもかないますように。
どうぞ宜しくね。
またね。