冬の一角獣

真城六月ブログ

卵が茹で上がるまでのワルツ

 

 

卵が茹で上がるまでのワルツ 人と人が争っているね  聴いてくれ聴いてくれって喚いているね   聴いてもらう唯一の方法は聴くことなのにね   愛して愛してって苦しんでいるね   ほんとうに何を思っているか欲しているか解らないのは 鏡を見ないから? 鏡を毎日覗き込み過ぎているから? 覗き込んで覗き込んで  愛しい かなしい  怒りのわたし

 

 

皆のせいね 誰かのせいね 何かのせいね 自分の怒りの強い怒りのおかげね 許しへの憧れと渇望は たぶんそれもこれも許されない業ね

 

 

 

 

水が火によって 湯になるワルツ 白い殻に包まれた命の沸き立つ ワルツ 祈っても良いの?このわたしが 祈っても良いの?

 

 

 

 

行間で待ち侘びる透明の句読点  無償の奉仕   捧げもの    価値 価値?  ウェブページは破れない  息で曇るスマートフォンの画面   薄汚れ  かじかんだあなたの指先   探しものは   探しものは    探し続けている   見つからないと知っているのに  見つかっては困るものね   探しているあなたが

 

 

 

 

やさしくない 文字で笑って笑っていない おはよう は朝じゃない お疲れさま は終わっていない 生活 なだらかな道の    足を運び 運んで 止まり 遥か  遥かだ  やさしくない

 

 

 

 

 

卵が茹で上がるまでのワルツ  わたしは痛くない 茹でている方は茹でられている方じゃないから  熱くない   祈れない  眼を逸らすことも出来ない

 

 

 

 


未明  叫びながら床を激しく手のひらで叩き、目覚める それからその 手の痛みにどうしてか感動し  少しだけ笑った