冬の一角獣

真城六月ブログ

Jam session

 

 

十一月半ば、ツイッター連詩をしたいとツイートし、わたしがはじめたものに連なる形で自由に参加して頂きました。繋げたものをこちらで紹介したいと思います。

 

 

 

Jam session 

 

雨が夜に降り、夜は寒くて樹の中に飛び込んだ。枝と葉の間に夜はいる。猫の瞳の中にもいられるくらいに小さい夜。夜の外側に人々の眠りが拡がっていた。みられている夢は音や匂いを生み出した。夜は自らの静けさで自らを包みながら、懐かしい底なし沼を思った。夜は眠ることが出来ない。(真城六月)

 

夜は街を彷徨い、あるひとつの気配を追った。明るい電灯の下の他愛のない会話。恋人たちの甘い吐息。夜は素通りする。幾千の小窓を覗いた夜は立ち止まる。瞼を糸で縫い付けた男の姿。男はじっと椅子に座っていた。夜は恋い焦がれた。男の瞼のなかのもうひとつの夜に。(アサクラハル様)

 

憂いを鎖じたはずの瞼。かすかに ながれた音律は うしなった甘い夢。ちいさな夜は窓辺に涙をおとす。眠れぬ瞼のうら、ひろがる黒水晶の羽は憧れる。のばした手のひらは いつか白い世界にきえてゆくはずだ。人魚が、虹色の泡となり夜にとけていったように。(みさを様)

 

誰もが夜に夢を見る 夜は眠れない 何をも誰をも夢見ない 夜は影を持たないから 半分の影を探し伸ばした手も見えない 虚無の無音の沼の底の闇を思う 恋慕う(ワダ様)

 

夜光虫の海を泳ぐ 透き通った私の額に 七つ星が輝いても 誰もそれを視ることは適わない Make to better place a new one 自閉した完璧な光 海原の火遊びを誰も咎めない そこが Mer de rêveでも 水中の稲妻よ 燐光の少女達よ 錯覚の火花が舞う夜の碧(あお) 瞼のミラーボールに 夢泳は続く(Shoji Tanaka様)

 

 

 

以上です。ご参加頂きありがとうございました。ひょっとして愉しいのでは…と思いつきではじめたもので、どなたにもご参加頂けないと思っていました。あらためて言葉の連なりをみると、思いもよらない展開や、自分では得られない着想を一人一人の方から感じ、やはりこうして成る事ならではの拡がりが面白かったです。言葉は個人的なものであると同時に、集合的なものだと思います。交感や、想起が惹きおこす想起や、ユングの神秘的関与(感染)などを考えさせられました。危険な試みでもありますので、無闇矢鱈に取り組むことは控えるべきかもしれません。だからこそ、ジャムセッションは面白いとも言えます。つまり、危険だから。博打打ちのような気概をお持ちの皆さんが参加して下さいました。今回は拙いわたしの言葉からのはじまりになりましたが、いつかもしも皆さんがこうしたジャムセッションをされます時には、皆さんの言葉からわたしも連なり、参加したく思います。どうぞよろしくお願い致します。

 

 


それでは、また。あったかくして冬に備えて下さい。どんぐりいっぱいほっぺに詰めて。