冬の一角獣

真城六月ブログ

羽ばたき

 

 

 

あかい花が咲いていた誰もいなくなった家

 

 

 

名前が消えかけて見えない郵便ポストと

 

 

白いつつじの向こう

 

 

 

根元に小鳥を眠らせて茂る枝葉をひろげる樹 手を上げ下げする度に眩しい緑のざわめきの響き渡る公園で

 

 

 

四月いつかいまとおなじように光った

 

 

 

 

すべてもとどおりにしてください

 

 

いいえ

 

すでにもうかえっています

 

 

 

ひかりを分かるくらい くらくなってみて もういちど くらくして

 

 

いまのすべて いまのままでいさせて

 

 

 

小鳥の眼

 

 

 

もどっておいで

 

 

近くではなくそばではなくもどっておいで

 

 

 

 

葉のすべておまえの羽根の色

 

 

 

うつくしいものからうつくしいものになった

 

 

 


おまえの羽ばたきをみている