羽ばたき
あかい花が咲いていた誰もいなくなった家
名前が消えかけて見えない郵便ポストと
白いつつじの向こう
根元に小鳥を眠らせて茂る枝葉をひろげる樹 手を上げ下げする度に眩しい緑のざわめきの響き渡る公園で
四月いつかいまとおなじように光った
すべてもとどおりにしてください
いいえ
すでにもうかえっています
ひかりを分かるくらい くらくなってみて もういちど くらくして
いまのすべて いまのままでいさせて
小鳥の眼
もどっておいで
近くではなくそばではなくもどっておいで
葉のすべておまえの羽根の色
うつくしいものからうつくしいものになった
おまえの羽ばたきをみている