冬の一角獣

真城六月ブログ

イチイ

 

 

 

風は少しずつ緑色になり、立ち止まる前に歩いて来た道のすべてがうまく燃え上がれば良い

 

 

 

あなたは夜を更けるままにしろと言う
あなたは涙を流れるままにしろと

 

 

さかさまになって地に落ちた頭を取り上げ首にくっつけて、こうだと言う

 

 

 

珈琲は熱かった すぐに冷める でもはじめは唇を焼いた

 

 

 

傷からは血が流れる 血を流さない傷もある 痛みだけある身体も

 

 

 

音や色、時や匂い、振り返って遥か 向き直って先を

 

 

 

爪を噛む子 髪をいじる子 足を揺する子
窓の外は行かなくてはいけない場所だったろうか 内側は密室で段々扉は小さくなり、徐々に部屋は広くなる 最後はまばたきする音も響きだしそうな 大広間 その先にはなかなか行けない 広過ぎて 広いという概念も無い

 

 

 

さかさまの対話にあるはずのない懐かしさをみつけようとあまりに必死で花は咲くことが出来なくなった 水滴 滲む水滴

 

 

 

うまく燃え上がれば良い歩いて来た道のすべてが立ち止まる前に、少しずつ緑色になる風

 


彼女を癒すために歩いて行くあなた
あなたの痩せた後ろ姿の背後に彼女の愛の故障したうつし絵

 

 

 

伸び上がって ひかりを差し伸べて手を

 

 


川の水面に行き場のない枝先 やけに優しく 触れるか触れないか それをみていて突然

 

 

 


余白に抱きしめられ