冬の一角獣

真城六月ブログ

存在

 

 

 

消える前、つかの間烈しく燃える火

 

閉じる前、訴え凝視める目の

 

 

 

身体から離れる前夜、緑の額に汗浮かべ、胸膨らませ、歌った声の

 

 

 

 

残るものが彼女をかがやかせ、暗くし、手をとれば熱い

 

 

 

 

持っているものが彼女の重さではなく、はじめからおおきな重みは内にあり、内にあるものが存在の裂け目から表に現れるとき、そのときにしか傷口をおさえることは出来ない

 

 

 

 

 

なんとよく泣く子であったか

 

なんと怒りに震えてばかりいた子で

 

 

なんとよく

なんとよく

 

 

身も搔き消えるほど声の限りにいつまでも

 

なにをそんなに泣くのであったか

 

 

 

 

 

 

 

彼女は泣ききったと思われた

凝視めた人の影の残る目でわたしを

見る泣ききった彼女の

 

空白と隙間にきれぎれに斜めにまっすぐに小さな手小さな手が

小さな手は行くな行くなと差し伸べられ

 

 

一筋に求め投げ出された手に

彼女は掴まり浮かび上がり繰り返し何度も

 

 

 

 

持っているもので彼女はできているのではなく、泣ききったことでここにある

 

 

 

 

泣ききった人よ