存在
消える前、つかの間烈しく燃える火
閉じる前、訴え凝視める目の
身体から離れる前夜、緑の額に汗浮かべ、胸膨らませ、歌った声の
残るものが彼女をかがやかせ、暗くし、手をとれば熱い
持っているものが彼女の重さではなく、はじめからおおきな重みは内にあり、内にあるものが存在の裂け目から表に現れるとき、そのときにしか傷口をおさえることは出来ない
なんとよく泣く子であったか
なんと怒りに震えてばかりいた子で
なんとよく
なんとよく
身も搔き消えるほど声の限りにいつまでも
なにをそんなに泣くのであったか
彼女は泣ききったと思われた
凝視めた人の影の残る目でわたしを
見る泣ききった彼女の
空白と隙間にきれぎれに斜めにまっすぐに小さな手小さな手が
小さな手は行くな行くなと差し伸べられ
一筋に求め投げ出された手に
彼女は掴まり浮かび上がり繰り返し何度も
持っているもので彼女はできているのではなく、泣ききったことでここにある
泣ききった人よ