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冬の一角獣

真城六月ブログ

夜景

電車は中途の駅までしかわたしを乗せませんでした。タクシー乗り場まで歩いているときに見えた遠くのレストランの看板が赤くきれいでした。

 

 


見惚れた瞬間に灯りは消えて、眼の中に赤い色が残りました。冬に見たい赤でした。白い日に、凍える日に見たい色でした。

 

 


心の中でコートを着て、ブーツを履き、雪の歌を歌いながら車に乗り込みました。汗をかいた首に髪の毛ははりついていました。行き先を告げ、タクシーがロータリーを去るためにスピードを上げ、曲がったとき、わたしは身体ごと振り返り、先ほど消えた看板をもう一度見ました。

 

 

 

探したものはそこにはありませんでしたが、わたしはそこにあったものを知っているのでした。

 

 

 

懐かしい。それは懐かしい、ありふれた初めての夜景でした。