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冬の一角獣

真城六月ブログ

抜け殻を背に

きれいな鳥の鳴き声に笑いながら目覚め少し重たい身体と頭で目はよく見えず寝起きの心許ない可笑しさに思うことは、いつか、目覚めるたびにむなしさとかなしみに包まれて胸から不安が身体中に染み渡っていくように感じていた日々のあったこと。あの日々のあの朝は、再びは訪れない。一時的にたのしむのが下手になっていた。夜はよく眠れたのに、朝が妙だった。いつも起き抜けの不安に苦しめられた。なにも起こっていなかった。なにも失っていなかった。だけどたのしむことだけ下手になってしまっていた。一人静かに格闘し、毎朝、困り果てた顔の自分を脱ぎ捨てて、置き去りにした。抜け殻は積み重なり、振り返りもしないわたしの背中を見たかもしれない。夜も朝も昼も好きでたのしいこと、たのしめること、いまはそれがうれしい。夜や朝や昼が嫌いで苦しいこと、たのしめないことを抱きしめている人よりなにか失ってしまったかもしれないけれど、嫌い続けることも出来たかもしれないけれど、いまは苦しくなくなった朝がうれしい。積み重なって動かない抜け殻は消える訳ではなく後方にあるままたのしむ。時々はまた抜け殻そのものになって、あったことを大いに愛しみ幾度も思いは灼ける。いつか、いまのすべてが苦しい人がうれしくなる頃に、わたしはまたたのしめなくなっているかもしれなくても、いまは笑いながら目覚める。こんなふうにこんなにも表せないことですべてはできているから後から見つけて笑えるようにこうして書いておくのかもしれない。

 

 

 

 

わたしは分かっている
わたしは分かっていない
知っているし知らない
全部、ひとつも
抜け殻ではない方をしていたよ今日は
今は今も
今まで息を
知らずに息を
知って息を
息を息を
する抜け殻ではない方のわたしは

 

 


ものを書くということは
腕を伸ばして指先でみえない獣に触れること
毛の感触が伝わった瞬間に
いつも泣いてしまう