菖蒲月の鬼
道を歩いていて低く飛ぶ飛行機を見上げ一人気分の良い五月の日は晴れわたり去年と同じ垣根の薔薇は笑いこんな日にはなるほど近くひかりを感じ閉じ込めた鬼までリボンをつけている
また別のある日には銀色の雨
傘をさして一人ゆっくりと歩きながら歌いフルコーラス心を込めて歌い歌い終えると背中からパチパチと音がして振り返ると傾けた首に傘を挟み両手で拍手する見知らぬおじさんがにやりと雨音に混じってパチパチと拍手をありがとうございますいつからいらしたんですか気づきませんでした恥ずかしいです走って逃げたいですありがとうございますこんな日には閉じ込めた鬼まで狸寝入りする
五月の日々に皆さんの鬼はどうですか内側からくすぐってきませんか
されてばかりは口惜しいのでたまにはくすぐり返してやりたいですね
君は居ても良い君はずっと居ると良いそうここに居ておくれ追いだせやしないよとかなんとか言ってやるのはどうでしょう参っちゃうんじゃない鬼のやつたぶんたぶんね
またね