冬の一角獣

真城六月ブログ

ここにいるのにそこにいる

本を読んでいて、読んでいるこちらの痛みを痛がっている人を本の中に何度も見つけてきました。

それらの本を繰り返し読み、本の中の人々について繰り返し思います。


書くことについても色々と思います。わたしが詩のようなものを書きだしたのは中学の頃でした。夢中になって書くようになったのは高校からで他者に見せるようになったのもその頃からでした。十代の頃はどんなふうにものを書いていたかなと振り返り、その頃の真似をして書いたものを読むとやっぱり瑞々しくないような気がします。そういえば子供の頃の大人の真似もつま先が痛かったのでした。





『ここにいるのにそこにいる』



ピアノの下に潜り込むのが好きだった



顫えているのを訝られるときは

冬なら「寒い」夏なら「暑い」



踊りたくない笑いたくない食べたくないときは

「睡い」



寝床の中で目蓋を開いて閉じて



今ここにこうしてあることを昔から知っていたのに可笑しいのは

いつも堪え難く羞しいこと

羞しいことが羞しいこと



優遇されると逃げたくなり
報われると消えたくなった


遠く
産まれなかった兄の背中まで目眩く遠く

長距離走を睡ったまま



ピアノ指先玻璃真珠
許色袖口淡く骨の薫り



睡い









さて、さてさて。あのね。


みなさまいかがお過ごしでしょうか。



どんなことがあっても、どんな思いを抱いていても季節は鮮やかに移ってゆきます。



それなのでわたしは新しい靴を履いて古い歌を歌いながら街を歩きたいです。





またね。