冬の一角獣

真城六月ブログ

百年一頭の犬を待つこと (前記『ある別離』に連なる)



遮断機が上がる踏切の向こうから
それは駆けてくる


次の列車が行けば次の列車が行けば


それを待っている

時には待っているのに迷う

向こうが待っているのかもしれないから

駆けて行かなければならなかったのなら

これまでずっと間違えていたことになる


まだいるの

そこにいる

間に合うの


闇雲に駆けて

何もかもを取り返そうと闇雲に駆けても

背中も見えない

もといた場所にいるべきだったかもしれない

行き違ったかもしれない

戻らなければと急ぐ

ほとんど宙に浮く


踏切の前で待っている

百年はすぐ過ぎる


それを追いかけて倒れたときの傷が残る額を指先で確かめているうちに


次の列車が行けば次の列車が行けば


駆けてくるのではないか

駆けてくるのではないかと