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冬の一角獣

真城六月ブログ

四月の幻灯機上映

四月です。新年度に入り、街も人も忙しそうです。

春らしい強く生あたたかな風が桜をすべて散らせていきます。花の散る様は何度見ても慣れないうつくしさです。散った花びらも道や川面を眺めることを特別にする可愛くかなしいピンク色です。


暖かくなってきて、衣替えや細々としたものの片付けをしていました。
そんなことをしていると、余計な話が出てきます。
少し前に見つけていたけれどよくよく読み返す気にもなれなかった十年くらい前のノートを何冊かいまだに持っています。ある意味恐怖の物品です。
今回はそのノートから何かここへ書き出してみましょう。誰も望んでいないことは承知しています。帰らないで下さい。笑えるかもしれないじゃないですか。たとえ笑えなくても怒らないで下さい。帰らないで。怒らないで。怒るくらいなら帰って。でもちょっと待って。私からのお願いは以上です。



翼をつけた子供達を追いながら
女は頭が痛かった
過去に何処かで見た
うのはなは今
光が瞳を壊し   記憶を壊ししている中で
女は沢山の衣を羽織っていた
垂れて下がる白の粒
さざなみ滴るうのはなの美は
戦の無い勝利を唄っていたから
女は
「万物の流転」は冗談だと知った

2005   8/23




大聖堂の鐘の下で
この世で
異世界で
懐かしいドードー
懐かしいプテラノドン
何度抱きしめか分からない
過去にはあなたを
知ってはいたかもしれないけれど
今になって突然に
どうして私はあなたが好きだろう

夢で何度も死のうとするあなたを
私は引きとめた
毎晩くりかえし
あなたが塔から落ちないように
毎晩毎夜
光であふれる真昼の青の下で
疲れた疲れたあなたを
どうして今さら好きだろう

あなたはどんどん幼くなる
小さくなる
私は歯が抜けて
皺々で杖をつく

ほたるをつかんで
口に入れたいような
気持ちが

2005   4/29




昔の自分がその時々の思考をメモしていたノートを懲りずに読むことは、こんなことをしている暇があるなら洗い物を済ませよう。というまともな考えに抗うことです。それでも人は時に訳のわからないことをするものです。読むうちに捨てなければいけないような気がしました。あちゃーと思い、また、変われないことを突きつけられる部分があることも認めざるを得ず、かなしく可笑しく思いました。書いたものにはいちいち日付までありました。ご丁寧に何の為だったのかご苦労様なことです。ノートの紙面に書かれた文字は迷っていました。どれもこれも全てみんな恥ずかしそうに並んでいました。




さて、ただいま春は幻灯機により上映中です。
今日も彼方此方で愛しく愚かな物語のなか、愚かで愛しい台詞が飛び交います。


それでは皆さんまた今度。ありがとうございました。