冬の一角獣

真城六月ブログ

子猫兎

夢の中で知らないけれど懐かしい感じの定食屋さんにいて、そこのやっぱり知らない人だけれど懐かしい店主に懸命に話をしているのでした。 この間は、そうです!そこのカウンターの右から二番目の…そう!そこの席です。そこで焼き魚の…。そうです。あの、わた…

言葉

あなたに使われない語だけでつくった歌を歌っていたら、カナリアだと思い込んでいた鳥が陽射しになり、暗いところを照らし出した。カナリアはひだまりになっても歌うのだった。ひだまりはカナリアでなくなっても羽根を震わせ飛べるのだった。 すべての語に魔…

八月 読むこと思うこと

こんにちは。こんばんは。 八月です。夏です。暑いですね。台風が来たり、雷が鳴ったりします。猫の鼻はちゃんと濡れていて、八月の濡れた鼻です。 今回は最近の読書からメモを置いてみようと思います。 私のものを盗み、相手の行為に私の方がはじらって、気…

海に似て

ひとりもない談話室で元気な自販機のあかるさが眩しい 整然と配置された清潔な机と椅子がおそろしいから座れずに歩き回ることも出来ずに見るものもなく立ち 助けを求める人のように窓に寄った 七月の空だった 膨らんで呼吸の荒い雲だった 海に似て青い果てま…

笑う夏

七月になりました。 今年は六月からとてもとても暑い日が続いています。あんまり暑いと何をしたわけでもない日も暮れる頃には疲れていたりするものです。そうして、疲れているからすぐにもぐっすりと眠りたいのに、また暑い夜なものですから、いつまでも眠れ…

孵化の傷

子供の頃、女の子達の間で流行りの遊びがあった。それは遊びと呼ぶにはあまりにも趣味が悪く、罪深く、低いことがらにあってもまだ低いといったもので、許されて良いものではなかった。それは仲の良い友達を傷つけるというものだった。互いに傷つけあうこと…

うつすものうつさないもの

最近は様々な画像加工アプリなどがあり、上手に使う人が多い。 手探りで利用してみると、なるほどとても面白く、時間を忘れて色々と加工を楽しんでしまう。色味を変えると、晴れた青空は薄暗くなるし、平凡な街路を百年前の道に変えてしまうようなエフェクト…

看花

渡り廊下が好きだった。通れば、橋を渡っている気分に少し浸れる。浮橋のイメージ。吊り橋。滑走路。脆そうな、危ういような足音と浮遊感、いつかも通った既視感。なにかとすれ違いそうな予感。それでいて頑丈などこにも隙の無い安心感。みんなで通るときよ…

サカナの手紙

昨夜の夢であなたは現実と遜色ないうざったさを発揮し、私にあなたに宛てて手紙を書くよう迫りました。狂おしいことに、あなたはその手紙を送る際に使う封筒まで用意していました。それには既に、あなたに届ける為の宛名まで書いてありました。どういうつも…

羽ばたき

あかい花が咲いていた誰もいなくなった家 名前が消えかけて見えない郵便ポストと 白いつつじの向こう 根元に小鳥を眠らせて茂る枝葉をひろげる樹 手を上げ下げする度に眩しい緑のざわめきの響き渡る公園で 四月いつかいまとおなじように光った すべてもとど…

イチイ

風は少しずつ緑色になり、立ち止まる前に歩いて来た道のすべてがうまく燃え上がれば良い あなたは夜を更けるままにしろと言うあなたは涙を流れるままにしろと さかさまになって地に落ちた頭を取り上げ首にくっつけて、こうだと言う 珈琲は熱かった すぐに冷…

春は読みもの

あたたかくなってきました。 春は足が歩き、心が歩き、肩がコートを脱皮したがって、頬があかるくなって、眠たいですね。雨だけ、冷たい銀色です。身体の外側で自分が踊っていて、なかなか戻ってこなくなるような春です。 同じ本を読んでいます。いつもそう…

らしさ らしさ

水色、ピンク色、紫色、赤色、黄色、色とりどりのペンや缶バッジ。例えば、小さなノベルティなどを頂く際、お店の方は「どのお色になさいますか?」と、選ばせて下さることがあります。 好きでない色は無いし、どれもきれいだと思うときなど、ご迷惑かもしれ…

『結び目』について

前記事『結び目』について、補足を少ししておきます。 前記事に限らず、全ての文章をご自由に解釈して頂くことを望んでいますが、『結び目』においては私から出たのではない言葉を取り入れています。『結び目』の最後の段は私自身が学生時代に実際に教師から…

結び目

椅子を持って校庭に出ましょう。 いまは、十時です。十時十分までに並び終えて下さい。 山に登ります。休憩は二時間後です。 食事です。残さず食べましょう。感謝しましょう。よく噛んで食べましょう。早く終えて片付けて下さい。 服を脱いで並んで下さい。…

猫の貴方

どうして近づけは良いか分からなかった。きれい過ぎるとこわくなるでしょ。惹かれ過ぎると好き過ぎると触れなくなるでしょ。そうだったの。機嫌損ねたくなくて、嫌われたくなくて出会うことも一生懸命回避して。 だけどある日、髪を切ってもらっていた時、前…

お届けもの

粉雪綿雪雨のち花吹雪待ち 行き過ぎる電車の音を聞く夜々 身の内を流れ巡り笑い方になる過去 指に巻きつけたあやとりの糸縺れ縺れ 光に触る胸の痛みが手放したときに冴え いつも帰るように眠る日毎の夢をみること もうすぐバレンタインデーです。 上にある言…

雪に降られて赤い花

日が暮れはじめた頃、カフェで友人に手紙を書いていた。 ミリアムもトトもいない街で本を買いに行きました。その本は売られていませんでした。 「薬屋さんで薬を買って帰るからね」 そういうことの度にシュペルヴィエルの青年や賢治の少年は甦る。きれいな若…

星空

年が明けて十日も経ちますと、年末の頃の感情を遠く感じだします。クリスマスソングはまだ頭の中に鳴り続いていて、お餅を食べているサンタさんと七草粥を眺める何処かの七面鳥と富士山と日の出とほっぺたツヤツヤの新成人の中振袖が華やかにゆっくりと通り…

冬の忘れもの

いつもお付き合いくださっている皆さま。 気にかけてくださる特殊な皆さま。 一年間過ごしていらしたことお疲れさまでした。 この一年の感謝を申し上げます。どうもありがとうございます。また、お気づきかもしれませんが、更新が減ってしまったことをお詫び…

ゴースト

これは優美な甘美な屍骸になる過程のあまり優美でもなければ甘美でもない肉体というか単に身体である。かもしれないし、違うかもしれない。これはその中で笑う骨である。血は歌いつつ流れ、行き止りの見つからない夢をみる。闇に於いては光を光に於いては闇…

砂にさわる

あなたはどうしていますか。どうしていたの。なにがあって、なにがなかったの。持ちものは、他には。あなたはまだあなたですか。 わたしはまだポケットの中にチキンサンドイッチを持っている。まだ胸の内ポケットにうさぎを隠しているよ。全部そのままで。全…

オペラがピエロ 【コント】

あんたは隠し事が出来ない。あんたとは秘密を共有していられない。リスクしかない。だから重要なことはあんたに打ち明けられないってこと。こっちが気をつけるしかないね。何度冷や汗かいたか。憶えてる?こっちは忘れられないけどね。あんたとわたしと旅行…

銀杏の黄色い葉 水色の

十一月に生まれた人は暑い国から寒い国へ寒い国から暑い国へ 十一月に生まれた人は燐寸乗っかる睫毛して 黒い瞳 戯けるのが好きで 西瓜が好き 映画を観る 胸でダンサー たまにシンガー 浴室の人魚 誰も見ていないときにだけ 泳ぐ 強がりのやさしい 猫 毎日つ…

X へ

初めにおことわりしておきます。これは夜に書く手紙です。 時折ふと、あなたを思い出します。あなたは少しも素敵にならず、素晴らしくもならず、あなたのままで蘇ってきます。あなたの訳の分からない矛盾した態度や言動をそのまま思い出します。様子や仕草は…

レイ・フォードの詩集

存在しない本で読みたい本があります。それはたとえば、本の中の登場人物が書いた本などで、世の中の隅々まで探したとしてもどこにもありはしないことは分かりきっているものですが、読んでみたくてたまらないものです。 わたしが昔から読みたいのは、レイモ…

荒地の盗人萩

行く道は薄桃色で脆い空気のせいでそれを吸い込んだ全身の血液が甘い行く道はただ珍しく再びは来ない道と知らないから似合わない服で過ぎる蟻を踏みミミズを踏み植物の種をしばらくくっつけたままの靴底は汚れずにいられる術もなく罪を増やして足よりも少し…

持ちもの

むかし一度行ったきりの家にあった小さな置物がどうしてか長い間、自分の内に残っていたのでした。 それが置かれていたテーブルに一緒に並んでいたものなどは滲み切った背景のように遠く、何ひとつはっきりとは憶えていないのに小さな女の人の立像だけいつも…

朝焼け

雨の多かった八月のある朝、うつくしい空を見ました。 昔から好きでよく見たり、写真に撮ったりしていたのは落日ばかりでしたので、たまには朝の空をと思い、下手なりに写真を撮っておきました。胸が騒ぐような朝焼けで、興奮屋の自分はすぐに手が震えてしま…

芙蓉 白芙蓉 羽衣

雨ばかり降る八月のある日、なりたいものは芙蓉で白芙蓉で羽衣でした。 天女に憧れるのではなく羽衣に憧れるのは、アリスにではなくエプロンドレスに、仮面ライダーにではなくバイクに憧れるようなものでしょうか。 でもエプロンドレスに憧れる人は、それを…