冬の一角獣

真城六月ブログ

未来の過去の

 

晴れて陽射しが金色の午後、用事を足しに出た帰り、小さな店で、小さなノートを買いました。

 

 

小さなノートに色々なことを思いつくまま忘れないよう記していくと、それは徐々に自分のノートになっていきます。

 

スマホにしたメモも、ノートに書くと同じ内容が、違って読めるようでおかしいです。

 

 

このノートに書いてあることは、他の誰が読んでも解らないことばかりで、一年後、五年後に自分で読み返してみたとしても、どういうつもりで書いたものだか解らなくなっているかもしれない。そんなメモです。

 

 

日々の営みにあって、頼りない物事について、日記でもなく、手紙でもなく、きちんとした記録でも無いメモをしていると、そういえば、こんなことをかなり昔、子供の頃にしていたなと思い出しました。その頃、どんなことを書いていたかもう忘れてしまったけれど。たぶんこんなことを書いていたような気がします。

 

 

うさぎを見た。ケーキ屋さん。おばさんの自転車が無くなった。駐車場の石。むらさき色とレモン色買う。階段の七段目。行方不明の理由。歯医者こわい。仲直り。あやまる。占いする。ABC。噛む犬。しっぽ。天才のクイズ。ノストラダムス。アクアマリン。心理テスト。早口言葉。かわいい髪型。足のサイズ。恐竜。ヒマラヤの雪男。沈没船。サスペンダー痛い。口笛できた。ギリシア神話。星座のはなし。世界一不思議なこと。まばたきする女の絵。イルカの知能。うまれる前のこと。

 


今も、そう変わらないメモをしているようで、もう二度と同じメモはとれないことに気づいて、少しだけ寂しくなります。今は今の、未来から笑われ、惜しまれ、未来に寂しがられるメモをしています。