冬の一角獣

真城六月ブログ

黄金の午後

 

 

七月は雨がよく降りました。朝に夜に良い日に辛い日にいつも降りました。


雨で心が痛む人も安らぐ人も、雨で身体が痛む人も眠たくなる人も、降っても晴れても変わらぬ人も、豊かで過酷な地球で生きものをしていたでしょう。わたしもしていました。時々間違えて頭だけになり、急いで生きものを取り戻したりしていました。忘れるだけ、何かを得ようと足掻き、足掻きの理由を見失いそうになり、自分の良くない傾向にしばしば盾突き、受け入れ、していました。

 


蛇口から出る水は生温かく、冷たさを求めて雪の歌を歌いました。

 


雨上がり、すごい青と緑。黄金の午後。

 


夏休みに入った子供達が遊んでいるプールを電車の窓から見ました。眩しかったです。ひとりひとりが光のかたまりでした。笑うたびに背が伸びるみたいでした。

 

 

見知らぬ土地の見知らぬ神社できれいなお稲荷さんを見ました。お稲荷さんは涼しい佇まいでした。真夏のお稲荷さんはヒトの営みを愚かさをかなしさを見つめ続けてきたのに静かにひんやりとそこにいてくれるのでした。

 


たぶん雷が好きなのか、怖いのか分からなくなるうち七月は過ぎてゆきました。これまでの七月はすべて鼻の頭に汗を浮かべ、決して追いつけない何かを追ううちに過ぎました。

 

 

そうして季節が過ぎても変わらず汗を流し夢を見続けるでしょう。目蓋の内側は閉じていても開いていても面白がり、かなしみで壊れ、修復され、再生され。光を浴びて背が伸びることはなくなっても。

 

 

ジングルベル。クリスマスイブ。花火の音。西瓜の色。猫のあくび。もしかしたらいつも黄金の午後。

 

 

夏に白いマニキュアを塗るのが好きだと夏になるたび思います。

 

 

良い夏を。

 


またね。