冬の一角獣

真城六月ブログ

みること

 

 

なにをしてきましたかと訊かれたら、みてきましたと答えましょう。

 

なにをと問われたらいろいろなたくさんを、それでも無理にも叶ったものをだけと返します。


みることにはどの字を使えば良いでしょう。見る、観る、視る、言葉は大き過ぎたり小さ過ぎたりもどかしいものです。うつくしいことは言葉の手前、もしくは向こうに拡がっています。

 

みえないものを思い思い、みることは、あるときはよろこびでしたし、あるときはくるしみでした。

 

みることをしてきました。ひとつのものをじっと。多くのものを離れてじっと。遠いものに目を凝らし、つま先立って。近いものに穴のあくほど。大きなものは屋根に上がって、小さなものは這いつくばって。一心に。

 


歩きながら歌いながら眠りながら。

 

 

凝視してきました。そのつもりで、そのようです。みつめてきました。

 


それでなにがどうでしたとは訊かないでください。少しずつ、ばらばらにそれを明かしてきました。これからもそうするでしょう。

 


みること、明かすこと、みえるようにすること、そうしながらまた、隠すこと、みえなくすること、なにになるかってなにになるかとはどういうことでしょう。

 

 

なにをみなかったか。

 

なにを明かさなかったか。

 

 


太陽は差し伸べる腕を照らしています。